続くを続けた10年。私立恵比寿中学「MUSiCフェス」の話
2019年6月22日、横浜赤レンガ倉庫で開催された私立恵比寿中学主催フェス「MUSiCフェス」に行きました。
10周年なにやるか分かりませんが、エビ中にこれまで楽曲提供したアーティストが集まってもはやエビ中全然関係なくガチの持ち歌やる野外フェスという案はきっと既に上がってますね
— ぶんごう (@papapakuchi_) August 18, 2018
ttps://のtwitter.com/papapakuchi_/status/103080890667768217610周年の始動前からフェスの開催をメチャメチャ期待してました。本当に嬉しい。
エビ中ちゃんとアーティスト
周年の記念として「楽曲提供を受けてきたアーティストを集めてフェスを開く」というのは、音楽と真剣に向き合ってきたエビ中ちゃんとその運営ならではの選択だと思います。
エビ中ちゃんは、楽曲をすごくすごく大切にしてきたアイドルです。他のアイドルが楽曲を大切にしていないとか言いたいわけじゃないし、自分がエビ中よりも詳しく知っているアイドルがいないとうこともあるから、まぁ主観の域を出ないけれど。
「あの有名アーティストがアイドルに楽曲提供!」というのはニュースにはなりやすいけれど、エビ中ちゃんの曲を作るアーティストは「全員知ってはいないだろうが、知ってる人はとっくに知っているメチャメチャグッドミュージックつくるアーティスト」みたいな印象が強い。
メジャーなアーティストを起用して話題性を狙うよりも、今のエビ中ちゃんに必要な曲は誰のつくるどんな曲なのかが吟味されて選ばれているんだなぁと音楽に詳しくない自分でも感じ取れます。
さらに2017年から今のところ2年連続で、生演奏でダンス無しで秩父の山奥でひたすら歌を歌う「ちゅうおん」を開催していて、「見て楽しいアイドル」だけじゃない、音楽に真剣に向き合いアイドルとしての像がじっくりと確立されつつあります。
自分はアーティストじゃないから知らんけど、アーティストにとって曲は自分の分身というか子どもというか、そういうものだろう。それもパッと生まれるのではなく、アーティストとして、いわば楽曲世界の創造主として、苦労して苦悩して産み落とされるものだろう。
自分の遺伝子が組み込まれた曲を、言ってしまえば手放して、自分ではない人(それも、10代20代の女の子)に形にしてもらうというのは怖いことかもしれない。提供先でどう形になるか分からないし、もしコケたら自分のキャリアに傷がつくリスクもある。そもそも自分の曲つくるのが仕事なのに、そこに割く時間やアイデアを他の人のために注ぐってとんでもないことだ。
エビ中は、アーティストが手渡したバトンを受け取り、それを自分のものとして表現する。アーティストに「続く」位置に立つことで曲を展開・表現していく(表現するというのはおうたをじょうずにうたうというだけのことでは決してなく、ソウルの問題でもある)。これを10年「続けて」きた。
この人たちなら自分が産み落とした遺伝子を継いでくれる、そういう信用が無いと、本当に良い曲は提供されないのかもしれない。
私が「エビ中の曲めっちゃ良い」って思えるのは、エビ中ちゃんが周りのアーティストから信用されているからだと思う。そうであってほしい。
エビ中ちゃんとももクロちゃん
結成10年を迎えるエビ中ちゃん。その目前には常にももクロちゃんの姿があったと思います。
もちろんエビ中とももクロは別のグループだし、ファミリー/モノノフとしてもエビ中はエビ中、ももクロはももクロ、って分別はあると思うけれど、今でもエビ中はももクロの妹分って言われがちだし(現にMUSiCフェスの翌日の朝のニュース番組でも「ももクロの妹分」って言われてた)。
「ああ いつも二番手」「桜のようにはなれぬけど」という詞を結成4年目にして歌っているのだ。(「梅」は2013年1月リリース。その直前の2012年12月にはももクロが紅白に出場している)
それでもももクロに「続く」ポジションで10年走り「続けて」きたエビ中ちゃん。
世間的(=知名度的、売上的)にはももクロ>エビ中だとは思うけれど、ここで「エビ中はももクロを上回らなかったから終了」と判断せずにエビ中を結果10年も「続け」てきたスターダストプロモーション。
エビ中がももクロに続かなかったら、その後に名古屋で、大阪で、福岡で、東京でももっとたくさん、そして男子アイドルまで。スターダストプロモーションはこれほど多くのアイドルを立ち上げようとはならなかったかもしれない。
言ってしまえばエビ中がももクロに「続いて」10年走り「続けた」からこそスターダストプラネット及びエビダンが出来た&大きくなった。
最初ももクロちゃんがMUSiCフェスに出るって発表されたときには、????って思ったけれど、同じステージに立つなら、あの日以外には無かっただろう。
「続く」の集大成としてのMUSiCフェス
エビ中に「続く」桜エビ~ず。
エビ中が「続いた」ももいろクローバーZ。
エビ中に楽曲という遺伝子を「続けて」きたHERE、ニューロティカ、魔法少女になり隊、SUSHIBOYS、POLYSICS、吉澤嘉代子、岡崎体育、ゲスの極み乙女。、フジファブリック。
計11組によるステージに「続く」トリが、私立恵比寿中学。
このステージの重たさは、真山さんの「すっげぇ嬉しい」に集約されていたと思います。そりゃ、すっげぇ嬉しいよ。
アイドルという枠にいながら音楽に向き合っているエビ中が、音楽に全振りしているアーティストばかりの後に歌わなくてはいけない。アイドルとしてずっと背中を追いかけてきた先輩だって今日はすぐ近くにいるし、自分たちの背中を見ながら走り始めた後輩だっている。
大きなハコも、アウェイも経験してきたエビ中ちゃんだけど、きっとこれまでに立ってきたどのステージとも意味合いが違うステージで、いくら会場の8割くらいがファミリーだったとはいえ、相当のプレッシャーがあっただろう。
アンコールの「永遠に中学生」で隣の人と肩を組みながら、エビ中ちゃんはこれからもずっと周りのアーティストやアイドルたちと走り続けるし、その限りこのハッピーは永遠に続くなと思えた。
2019年6月23日の横浜赤レンガ倉庫は世界で一番の場所だった。MUSiCフェス、成功してよかった。